ex:a1594
「日本は堕落せよと叫んでいる」
「日本は堕落せよと叫んでいる」
Page Type | Example |
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Example ID | a1594 |
Author | 坂口安吾 |
Piece | 「続堕落論」 |
Reference | 『坂口安吾』 |
Pages in Reference | 237-238 |
Text
「日本国民諸君、私は諸君に、日本人及び日本自体の堕落を叫ぶ。(…)私は日本は堕落せよと叫んでいるが、実際の意味はあべこべであり、現在の日本が、そして日本的思考が、現に大いなる堕落に沈淪しているのであって、我々はかかる封建遺性のカラクリにみちた『健全なる道義』から転落し、裸となって真実の大地へ降り立たなければならない。」
Context | Focus | Standard | Context |
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日本は | 堕落せよ | (真実の大地で生きよ) | と叫んでいるが、実際の意味はあべこべであり |
- 皮肉的(=サーカズム的)ではない。マイナス方向へ導く発話が、アイロニー的にプラス方向へ導く発話であることをメタ言語的に言及している。
Rhetoric
Semantics
Grammar
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Pragmatics
Category | Effect |
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奇想 (conceit) | 旧来の規範自体が堕落している世の中では、その規範において「堕落」することが新たな基準における更生を意味しており、解釈の際に視点の転換を要求している。 |
殊句 (-) | 一般には避けるべき事態とされている堕落を勧めることで、読者の注意を引き、その意図を能動的に探らせようとする。 |
イメジャリー・イメージ (imagery) | 悪い方向への状態変化が、あたかも「堕ちる/落ちる」という下方向への物理的な移動を伴うかのような印象を与える。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)