ex:a2379

「私は往来を軽やかな昂奮に弾んで」

「私は往来を軽やかな昂奮に弾んで」

Page Type Example
Example ID a2379
Author 梶井基次郎
Piece 「檸檬」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 18

Text

私はもう往来を軽やかな昂奮に弾んで、一種誇りかな気持さえ感じながら、美的装束をして街を闊歩した詩人のことなど思い浮かべては歩いていた。汚れた手拭の上へ載せてみたりマントの上へあてがってみたりして色の反映を量(はか)ったり、またこんなことを思ったり、  ――つまりはこの重さなんだな。

Context Focus Standard Context
軽やかな昂奮 () に弾んで

  • 先行文脈に「その日私はいつになくその店で買物をした。というのはその店には珍しい檸檬(れもん)が出ていたのだ。檸檬などごくありふれている。がその店というのも見すぼらしくはないまでもただあたりまえの八百屋に過ぎなかったので、それまであまり見かけたことはなかった。いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈(たけ)の詰まった紡錘形の恰好(かっこう)も。――結局私はそれを一つだけ買うことにした。」とあり、ここではレモンを手に入れた興奮を描いている。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 興奮 > 足取り 感奮>足どり

  • 気持ちの高ぶりと足取りの軽やかさの両方を表している。

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 檸檬の持つ爽やかさが軽やかな気分につながり、それが興奮につながるという、檸檬からを手にしたことからの一連の気持ちの流れが感じられる。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)