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「牝豚牡豚とは南子と宋朝とを指している」
「牝豚牡豚とは南子と宋朝とを指している」
Text
「宋朝は有名な美男である。衛に嫁ぐ以前の南子と醜関係があったことは、霊公以外の誰一人として知らぬ者は無い。二人の関係は今衛の公宮で再び殆どおおっぴらに続けられている。宋の野人の歌うた牝豚牡豚とは、疑いもなく、南子と宋朝とを指しているのである。」
Context | Focus | Standard | Context |
---|---|---|---|
牝豚牡豚 | 南子と宋朝 |
- 「牝豚牡豚」は、直前にある「牝豚はたしかに遣った故 早く牡豚を返すべし」に言及している。先行文脈に「衛(えい)の霊公の三十九年と云う年の秋に、太子[※(「萠+りっとう」、第3水準1-91-14)][※(「耳+貴」、第4水準2-85-14)](かいがい)が父の命を受けて斉(せい)に使したことがある。途(みち)に宋の国を過ぎた時、畑に耕す農夫共が妙な唄を歌うのを聞いた。
既定爾婁豬 盍帰吾艾[※(「豕+暇のつくり」、第4水準2-89-3)] 牝豚はたしかに遣った故 早く牡豚を返すべし 衛の太子は之これを聞くと顔色を変えた。思い当ることがあったのである。」とある。
Rhetoric
Category | |
---|---|
1 | メタ言語 (metalanguage) |
2 | イメジャリー・イメージ (imagery) |
3 | 直喩・シミリ (simile) |
4 | 評価 (evaluation) |
5 | 定義 (definition) |
6 | 引用・引喩 (quotation) |
Semantics
Grammar
Construction | Aとは疑いもなくBを指している |
---|---|
Mapping Type | 概念メタファー |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
---|---|
A | Target |
B | Source |
Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
---|---|---|---|---|
1 | A | と[は] | B | と-内容指定 |
2 | A | [と]は | B | は-既出のものに関する判断の主題 |
3 | 疑い[もなく] | B | 疑う(うたがう) | |
4 | [疑い]も[なく] | B | も-強調 | |
5 | [疑いも]なく | B | ない(ない) | |
6 | B | を[指している] | を-目的・目標(他動詞) | |
7 | B | [を]指し[ている] | 挟む(はさむ) | |
8 | B | [を指し]て[いる] | て-補助用言に連なる用法 | |
9 | B | [を指して]いる | 居る(いる) |
- 基本的に直喩は措定文など属性表現的な構文で用いられるため、指示物を指定する構文は典型的な直喩とは異なる。
Pragmatics
Category | Effect |
---|---|
イメジャリー・イメージ (imagery) | 二人の男女に、本能のままに行動する豚の醜悪さや怠惰さを感じさせる。 |
評価 (evaluation) | 豚という非人間でありかつ怠惰な存在として想起されやすい動物に比することで、二人の男女の関係を醜悪なものとして見るという侮蔑的な価値評価を表す。 |
定義 (definition) | 「牝豚牡豚」という隠喩が何を指す表現であるかについて、説明的に注釈している。 |
引用・引喩 (quotation) | 「牝豚牡豚」という表現は、先行文脈にある「牝豚はたしかに遣った故 早く牡豚を返すべし」に言及していることを明示している。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)