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「とのさまがえるは三十がえる力ある」

「とのさまがえるは三十がえる力ある」

Page Type Example
Example ID a2252
Author 宮沢賢治
Piece 「カイロ団長」
Reference 『新編銀河鉄道の夜』
Pages in Reference 54

Text

「あ痛っ、あ痛っ。誰だい。」なんて云いながら目をさまして、しばらくきょろきょろきょろきょろしていましたが、いよいよそれが酒屋のおやじのとのさまがえるの仕業(しわざ)だとわかると、もうみな一ぺんに、 『何だい。おやじ。よくもひとをなぐったな。』と云いながら、四方八方から飛びかかりましたが、何分とのさまがえるは三十がえる力(りき)あるのですし、くさりかたびらは着ていますし、それにあまがえるはみんな舶来ウェスキーでひょろひょろしてますから、片っぱしからストンストンと投げつけられました。

Context Focus Standard Context
とのさまがえるは 三十がえる力 (三十人力)

  • 「りき」というルビから考えると、「百人力」という慣用表現を拡張して「三十人力」ともじっている。ここでは人がカエルに対応するので、さらに拡張して「三十がえる力」としたものか。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 かえる = 人間 人間=両生類
2 三十 > 多い 十・拾>多い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イディオム・慣用表現 (idiom) 「十人力」という定型的な表現をもとに、人数を「三十」と増やすことで、とのさまがえるの力の強さが通常の範囲に収まらないことを示す。
人物描写 (description of a character) 「十人力」という定型的な表現を拡張することで、とのさまがえるの力の強さを描く。
ユーモア (humour) かえるについての描写であることから定型表現に含まれる「人」を「かえる」に変えることで、表現としてのおかしみを生む。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)