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「なるほどこんなにして滑って来るのだと思った」
「なるほどこんなにして滑って来るのだと思った」
Text
「どうして引返そうとはしなかったのか。魅せられたように滑って来た自分が恐ろしかった。——破滅というものの一つの姿を見たような気がした。なるほどこんなにして滑って来るのだと思った。」
Context | Focus | Standard | Context |
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魅せられたように滑って来た自分が恐ろしかった。..破滅というものの一つの姿を見たような気がした。なるほどこんなにして | 滑って | (破滅して) | 来るのだ |
- 先行文脈に「高い方の見晴らしへ出た。それからが傾斜である。自分は少し危いぞと思った。傾斜についている路はもう一層軟かであった。しかし自分は引返そうとも、立留って考えようともしなかった。危ぶみながら下りてゆく。一と足下りかけた瞬間から、既に、自分はきっと滑って転ぶにちがいないと思った。――途端自分は足を滑らした。片手を泥についてしまった。しかしまだ本気にはなっていなかった。起きあがろうとすると、力を入れた足がまたずるずる滑って行った。今度は片肱(ひじ)をつき、尻餅をつき、背中まで地面につけて、やっとその姿勢で身体は止った。」とある。
Rhetoric
Semantics
Grammar
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Pragmatics
Category | Effect |
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寓意・アレゴリー (allegory) | 直前の「滑って来た」に連なる表現。 |
イメジャリー・イメージ (imagery) | 氷の上を滑っていく滑らかなイメージを喚起し、何にも遮られずに破滅へとまっすぐに向かってきたという印象を与える。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)