ex:a2128

「鏡の中の顔が消えてあぶり出しのようにまた現われたりする」

「鏡の中の顔が消えてあぶり出しのようにまた現われたりする」

Page Type Example
Example ID a2128
Author 梶井基次郎
Piece 「泥濘」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 211

Text

さーっと鏡の中の顔が消えて、あぶり出しのようにまた現われたりする。

Context Focus Standard Context

  • 「あぶり出し」は、乾くと透明になる化学薬品や植物の汁などで紙に絵や字を書き,火にあぶるとその形が現れるようにしたもの。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 あぶり出し = 鏡=暴露

Grammar

Construction AのようにB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように B 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
描写 (description) 「あぶり出し」という現象が持つ〈白紙から字が浮かび上がる〉という特性を自分自身の意識に適用した表現。今まで当然のように受け入れていた自身の「顔」に、実は自分自身にも意識できていない側面が存在したということを示す。
イメジャリー・イメージ (imagery) 鏡であるにもかかわらず、反射によるのではなく、表面に何らかの仕掛けが施されているかのような、奇術的な印象を与える。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)