「醜悪な伎楽の腫れ面という面そっくりに見えて来たりする」

「夜晩く鏡を覗くのは時によっては非常に怖ろしいものである。自分の顔がまるで知らない人の顔のように見えて来たり、眼が疲れて来る故か、じーっと見ているうちに醜悪な伎楽の腫れ面という面そっくりに見えて来たりする。」

Context	Focus	Standard	Context

	Category
1	直喩・シミリ (simile)
2	心理描写 (psychological-description)
3	明晰 (clarity)

	Source	Relation	Target	Pattern
1	面	=	顔	顔=面

Construction	AがBそっくりに見えて来たりする
Mapping Type	概念メタファー

Lexical Slots	Conceptual Domain
A	Target
B	Source

	Preceding	Morpheme	Following	Usage
1	A	が	見えて	が-主語
2	B	そっくりに［見えて来たりする］		=-らしい（らしい）
3	B	［そっくりに］見え［て来たりする］		判ずる・判じる（はんずる・はんじる）
4	B	［そっくりに見え］て［来たりする］		て-補助用言に連なる用法
5	B	［そっくりに見えて］来［たりする］		来る（くる）
6	B	［そっくりに見えて来］たり［する］		たり-「〜たり〜たりする」
7	B	［そっくりに見えて来たり］する		する（する）

Category	Effect
心理描写 (psychological-description)	鏡をじっと見つづけて疲労した眼には、自分の顔のゲシュタルトを保てず、自分の顔であるという同一性の認識が崩れ、自身に対する不快な感情だけが知覚に反映し、伎楽の面のなかでも醜悪な腫れ面として立ち現れる認識を表現する。
明晰 (clarity)	「醜悪な伎楽の腫れ面」を引き合いに出すことで、自分自身の顔が普段とはどの程度異なって見えるかを分かりやすく示す。