ex:a1867

「その頃でも恋はあった」

以前のリビジョンの文書です


lv3-「その頃でも恋はあった」

Example ID a1867
Category contrast
Text

「敵の大将は、弓の真中を右の手で握って、その弓を草の上へ突いて、酒甕(さかがめ)を伏せたようなものの上に腰をかけていた。その顔を見ると、鼻の上で、左右の眉まゆが太く接続(つなが)っている。その頃髪剃(かみそり)と云うものは無論なかった。(…) その頃でもはあった。自分は死ぬ前に一目思う女に逢(あ)いたいと云った。大将は夜が開けて鶏(とり)が鳴くまでなら待つと云った。鶏が鳴くまでに女をここへ呼ばなければならない。鶏が鳴いても女が来なければ、自分は逢わずに殺されてしまう。」(夏目漱石「夢十夜」: 330)

Context Focus Standard Context
その頃でも (恋愛関係) はあった
  • 「その頃」は「神代(かみよ)に近い昔」を指す。「夢十夜」の第五夜冒頭に「何でもよほど古い事で、神代(かみよ)に近い昔と思われるが、自分が軍(いくさ)をして運悪く敗北(まけ)たために、生擒(いけどり)になって、敵の大将の前に引き据(す)えられた。」とある。
  • 「髪剃」は無かったが「恋」はあったと述べることで、物質的なものと精神的なものが対比されている。精神的なものは、時代によらず普遍的に存在することを含意している。
Conceptual Mappings
Source Relation Target Pattern
←→ かみそり 情愛<-->庖丁
Figurative Construction
Construction
Mapping Schema
Functional Type
Rhetorical Effects
最終更新: 2019/09/06 21:02