ex:a1851

「ゲーが執念深く妨害をする」

「ゲーが執念深く妨害をする」

Page Type Example
Example ID a1851
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 304

Text

細君は水薬(すいやく)を茶碗へ注(つ)いで僕の前へ置いてくれたから、茶碗を取り上げて飲もうとすると、胃の中からげーと云う者が吶喊(とっかん)して出てくる。やむをえず茶碗を下へ置く。細君は『早く御飲おのみになったら宜(い)いでしょう』と逼(せま)る。早く飲んで早く出掛けなくては義理が悪い。思い切って飲んでしまおうとまた茶碗を唇へつけるとまたゲーが執念深く妨害をする。

Context Focus Standard Context
ゲー (「ゲー」と言いたくなるような不快感)

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人間 = 胃液 体液=人間

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬人法 (personification) 嘔吐という生理的な反応(あるいはその中心となる胃液)が、人間のように意思をもっており、水薬を飲ませまいとしてきているかのような印象を与える。
寓意・アレゴリー (allegory) 先行の「げーと云う者」に連なる表現。
ユーモア (humour) 胃から迫り上がってくる吐瀉物を嘔吐の典型的表現である「ゲー」で指示することで、滑稽で戯画的な印象を与える。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)