ex:a1781
「本当にそうだって、本当にそうでは困る」
「本当にそうだって、本当にそうでは困る」
Page Type | Example |
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Example ID | a1781 |
Author | 坂口安吾 |
Piece | 「金銭無情」 |
Reference | 『坂口安吾』 |
Pages in Reference | 300-301 |
Text
「しかし富子はうちの宿六はたしかにほんとに偉いんじゃないかと思うことがあった。それはつまり、守銭奴で大酒飲みで大助平で怠け者で精神的なんてものは何一つないというのはつまり人間が根はそれだけのくせに誰もそれだけだということを知らないだけなんだ、といううちの宿六の説がどうも本当にそういうものかしらと思われるような時があるからである。しかし本当にそうだって、本当にそうでは困る。本当にそうだということなんか、ちっとも偉くないじゃないか。」
Context | Focus | Standard | Context |
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本当にそうだって、本当にそうでは困る | () |
Rhetoric
Semantics
Grammar
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Pragmatics
Category | Effect |
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両刀論法・ジレンマ (dilemma) | 「宿六の説」について、「本当にそうだって」の部分で「宿六の説」を認めると仮定することに言及するが、「本当にそうでは困る」の部分で、前段の仮定が正しくとも良いことはないと述べ、いずれにしても現実に良い結果がないということを指摘している。 |
ユーモア (humour) | 「宿六の説」の正誤にかかわらず現実には良い結果がないことについて、一見すると矛盾するように見える表現をすることで、ユーモアを加えている。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)