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「五十銭を三十銭にねぎる美徳だの、諸々のニセの着物をはぎとり」

「五十銭を三十銭にねぎる美徳だの、諸々のニセの着物をはぎとり」

Page Type Example
Example ID a1599
Author 坂口安吾
Piece 「続堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 238

Text

天皇制だの、武士道だの、耐乏の精神だの、五十銭を三十銭にねぎる美徳だの、かかる諸々のニセの着物をはぎとり、裸となり、ともかく人間となって出発し直す必要がある。

Context Focus Standard Context
着物 (かかる諸々[=天皇制、武士道、耐久の精神、美徳])

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 着物 = 美徳 知徳=服

Grammar

Construction AのBのCをD
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Elaboration
C Source
D Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C の-同格(同じ内容)
2 B C の-性質・性格・状態
3 C D を-目的・目標(他動詞)

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 「美徳:着物」の対を作ることにより、類比的に「本音:裸」の対が生まれる。
定義 (definition) 「本音:裸」類比関係を作ったうえで着物を「ニセ」と指定することで、美徳もまた人間にとって偽物でしかないことを主張する。
含意法 (implication) 「本音:裸」類比関係を作ったうえで着物を「ニセ」と指定することで、美徳もまた人間にとって偽物でしかないことを主張し、「裸:本音」で生きることの重要さを暗示する。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 天皇制や美徳といった社会通念が、着物のように身体に纏ったり剥ぎ取ったりすることのできる実体であるという印象を与える。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)