ex:a1519
「林泉や茶室というものは空中楼閣なのである」
「林泉や茶室というものは空中楼閣なのである」
| Page Type | Example |
|---|---|
| Example ID | a1519 |
| Author | 坂口安吾 |
| Piece | 「日本文化私観」 |
| Reference | 『坂口安吾』 |
| Pages in Reference | 192-193 |
Text
「タウトは修学院離宮の書院の黒白の壁紙を絶讃し、滝の音の表現だと言っているが、こういう苦しい説明までして観賞のツジツマを合せなければならないというのは、なさけない。蓋し、林泉や茶室というものは、禅坊主の悟りと同じことで、禅的な仮説の上に建設された空中楼閣なのである。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| 林泉や茶室というものは | 空中楼閣 | (確固としたよりどころの無いもの) | なのである |
Rhetoric
Semantics
- 建物=理論という比喩から、根拠のない理論=基礎のない建物という比喩に展開している。結果的に、建物(「楼閣」)で建物(「茶室」)を喩えていることになる。
Grammar
| Construction | |
|---|---|
| Mapping Type |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|
| Preceding | Morpheme | Following | Usage |
|---|
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| もじり (-) | 「砂上の楼閣」という定型句を想起させる。 |
| アナロジー・類推 (analogy) | 砂の上に築かれた建造物は、それがいかに立派なものであっても、十分な基礎を欠くことになる。「空中楼閣」はこのイメージを頼りに、それをさらに推し進めて、あたかも空中に建造物を建てる試みと同じく、林泉や茶室が具体的な基礎を完全に欠いていることを表現している。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
