ex:a1510
「僕は祇園の舞妓と猪だとウッカリ答えてしまった」
「僕は祇園の舞妓と猪だとウッカリ答えてしまった」
Page Type | Example |
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Example ID | a1510 |
Author | 坂口安吾 |
Piece | 「日本文化私観」 |
Reference | 『坂口安吾』 |
Pages in Reference | 177-178 |
Text
「隠岐は僕に京都で何が見たいかということと、食物では何が好きかということを、最もさりげない世間話の中へ織込んで尋ねた。僕は東京でザックバランにつきあっていた友情だけしか期待していなかったのに、京都の隠岐は東京の隠岐ではなく、客人をもてなすために最も細心な注意を払う古都のぼんぼんに変っていた。僕は祇園の舞妓と猪だとウッカリ答えてしまったのだが——まったくウッカリ答えたのである。」
Context | Focus | Standard | Context |
---|---|---|---|
祇園の舞妓と猪 | が好き | (が見たい) |
Rhetoric
Semantics
- 見たいものと、好きな食べ物を同時に聞かれたために、両者を並立している。「見たい」「好き」はそれぞれの文脈にしか適合しないので、「パンとコーヒーを飲む」のような、破格くびきの用例であると言える。
- 「猪」は食べるもので、「舞妓」は見るものだ、という換喩的連想によって、言わんとすることが理解できる。
Grammar
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Pragmatics
Category | Effect |
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くびき語法 (zeugma) | 見たいものと、好きな食べ物を同時に聞かれたために、両者を並立している。「見たい」「好き」はそれぞれの文脈にしか適合しないので、「パンとコーヒーを飲む」のような、破格くびきの用例であると言える。 |
対照法・対照 (antithesis) | 一見するとつながりが分からない並列になっているが、「猪」は食べるもので、「舞妓」は見るものだ、という換喩的連想によって、2つの質問へのそれぞれの答えだということが理解できる。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)