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「女の出来ねえ職人たら歌を忘れたカナリアみてえなもんで」
「女の出来ねえ職人たら歌を忘れたカナリアみてえなもんで」
Text
「可哀相に女の出来ねえ職人たら歌を忘れたカナリアみてえなもんで……ヘエ。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| 歌を忘れたカナリア | (女の出来ねえ職人) |
- 西条八十作詞の童謡「歌を忘れたカナリア」のこと。
- 先行文脈に「あっし等が人寄せをやっている台湾館の中には六人の台湾娘が居て、お茶の給仕をしておりました。そいつ等の名前(なめえ)は三十年も前(めえ)の事ですから忘れちゃいましたが、何でもフン、パア、チョキ、ピン、キリ、ゲタってな八百屋の符牒みたいな苗字の女の子が、揃って台湾選(よ)り抜きの別嬪ばかりなんで、年はみんな十七か八ぐれえの水の出花(でばな)ってえ奴でしたが、最初っからの固いお布告(ふれ)で、そんな女たちに指一本でも指したら最後の助(すけ)、お給金が貰えねえばかりでなく、亜米利加でタタキ放しにするという蛮爵(ばんしゃく)様からの御達しなんで、おまけに藤村さんは藤村さんで、一足でも博覧会場から踏み出すことはならねえ。」とある。女を「出来る」とは、台湾からな娘に手を出すことを意味する。
Rhetoric
Semantics
Grammar
| Construction | AたらBみてえなもんで |
|---|---|
| Mapping Type | 概念メタファー |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|---|
| A | Target |
| B | Source |
| Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A | たら | B | たら-非難・難詰の対象 |
| 2 | B | みてえな[もんで] | みたい-類似-連体形 | |
| 3 | B | [みてえな]もん[で] | 対象(たいしょう) | |
| 4 | B | [みてえなもん]で | だ-断定・指定-連用形 |
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| 過大誇張 (auxesis) | カナリアが歌を忘れてしまった様子を提示して職人の辛い心情を誇張的に表している。 |
| 心理描写 (psychological-description) | 女を手に入れられない職人の辛さ、喪失感を描く。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
