「迷園のごとく陰気でだだっ広く」

「私は『家』というものが子供の時から怖しかった。それは雪国の旧家というものが特別陰鬱な建築で、どの部屋も薄暗く、部屋と部屋の区劃が不明確で、迷園のごとく陰気でだだっ広く、冷めたさと空虚と未来への絶望と呪咀のごときものが漂っているように感じられる。」

Context	Focus	Standard	Context
	迷園	（雪国の旧家）

	Source	Relation	Target	Pattern
1	迷園	=	旧家	家門=迷路

Construction	AというものがBのごとくC
Mapping Type	概念メタファー

	Preceding	Morpheme	Following	Usage
1	A	と［いうものが］	C	と-内容指定
2	A	［と］いう［ものが］	C	言う（いう）
3	A	［という］もの［が］	C	対象（たいしょう）
4	A	［というもの］が	C	が-主語
5	B	の［ごとく］	C	の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
6	B	［の］ごとく	C	ごとし-類似-連用形

Category	Effect
イメジャリー・イメージ (imagery)	広く複雑な構造を持つ旧家の建物を迷路として表象する。
評価 (evaluation)	迷路は人の住居ではなく、出口が分からず不安を喚起するものであることにより、旧家に対する話者の否定的な認識を提示する。