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「人と一緒にものを見物しているような感じが起って来た」
「人と一緒にものを見物しているような感じが起って来た」
Text
「夜警はだんだん近づいて来た。この夜警は昼は葬儀屋をやっている、なんとも云えない陰気な感じのする男である。私は彼が近づいて来るにつれて、彼がこの猫を見てどんな態度に出るか、興味を起して来た。彼はやっともうあと二間ほどのところではじめてそれに気がついたらしく、立ち留った。眺めているらしい。彼がそうやって眺めているのを見ていると、どうやら私の深夜の気持にも人と一緒にものを見物しているような感じが起って来た。ところが猫はどうしたのかちっとも動かない。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| 人と一緒にものを見物している | () | 感じ |
- 「夜警」は、語り手が上から見ていることに気づいていないが、猫の態度を見ているという点は共通しているので、「一緒に」見ているような感じがしてきたという心情を描写している。
Rhetoric
Semantics
| Source | Relation | Target | Pattern |
|---|
Grammar
| Construction | どうやらAにもBようなCがDて来た |
|---|---|
| Mapping Type | 概念メタファー |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|---|
| A | Target |
| B | Source |
| C | Target |
| D | Target |
| Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | どうやら | ような | どうやら(どうやら) | |
| 2 | A | に[も] | D | に-抽象的な場所 |
| 3 | A | [に]も | D | も-強調 |
| 4 | B | ような | C | 様-例示-連体形 |
| 5 | C | が | D | が-主語 |
| 6 | D | て[来た] | て-補助用言に連なる用法 | |
| 7 | D | [て]来[た] | 来る(くる) | |
| 8 | D | [て来]た | た-過去-終止形 |
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| 心理描写 (psychological-description) | 共同で何かを注視している感覚を覚えていることを、「一緒にものを見物する」という仮定的な事態を提示することで表現する。 |
| 明晰 (clarity) | 自分が注目している猫を夜警もまた見始めていることに気付いた際の心理状態を分かりやすく表現する。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
