ex:a1208

「彼の小さな希望は深夜の空気を顫(ふる)わせた」

以前のリビジョンの文書です


lv3-「彼の小さな希望は深夜の空気を顫(ふる)わせた」

Example ID a1208
Category 換喩・メトニミー (metonymy)
Text

「喬は腰に朝鮮の小さい鈴を提(さ)げて、そんな夜更け歩いた。それは岡崎公園にあった博覧会の朝鮮館で友人が買って来たものだった。銀の地に青や赤の七宝がおいてあり、美しい枯れた音がした。人びとのなかでは聞こえなくなり、夜更けの道で鳴り出すそれは、彼の心の象徴のように思えた。(…)そんな時朝鮮の鈴は、喬の心を顫(ふる)わせて鳴った。ある時は、喬の現身(うつせみ)は道の上に失われ鈴の音だけが町を過るかと思われた。またある時それは腰のあたりに湧(わ)き出して、彼の身体の内部へ流れ入る澄み透った溪流のように思えた。それは身体を流れめぐって、病気に汚れた彼の血を、洗い清めてくれるのだ。『俺はだんだん癒ってゆくぞ』 コロコロ、コロコロ、彼の小さな希望は深夜の空気を清らかに顫(ふる)わせた。」(梶井基次郎「ある心の風景」: 294-295)

Context Focus Standard Context
コロコロ、コロコロ、彼の小さな 希望 (鈴) は深夜の空気を清らかに顫わせた
Conceptual Mappings
Source Relation Target Pattern
希望 > 望み>鈴
Figurative Construction
Construction
Functional Type
Rhetorical Effects
最終更新: 2019/08/11 16:20