ex:a1193
「それ[=女の腕]はまさしく女の腕であって、それだけだ」
「それ[=女の腕]はまさしく女の腕であって、それだけだ」
| Page Type | Example |
|---|---|
| Example ID | a1193 |
| Author | 梶井基次郎 |
| Piece | 「ある心の風景」 |
| Reference | 『梶井基次郎』 |
| Pages in Reference | 288-289 |
Text
「平常自分が女、女、と想っている、そしてこのような場所へ来て女を買うが、女が部屋へ入って来る、それまではまだいい、女が着物を脱ぐ、それまでもまだいい、それからそれ以上は、何が平常から想っていた女だろう。『さ、これが女の腕だ』と自分自身で確める。しかしそれはまさしく女の腕であって、それだけだ。そして女が帰り仕度をはじめた今頃、それはまた女の姿をあらわして来るのだ。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| それ[=女の腕]はまさしく | 女の腕 | () | であって、それだけだ |
- 「女の腕」は女ではない。「女の姿」との対比に注意。
Rhetoric
Semantics
- 「まさしく…であって、それだけだ」のコンテクストによって、腕から女への換喩関係を否定している。否定の意味を理解することができる前提として、この換喩関係が認識されることが必要になる点に注意。
Grammar
| Construction | |
|---|---|
| Mapping Type |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|
| Preceding | Morpheme | Following | Usage |
|---|
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| 同語反復・トートロジー (tautology) | 「女の腕」が「女の腕」であるという当たり前の事実をことさら強調する。 |
| 心理描写 (psychological-description) | 語り手の特殊な心情、「女」への異常な執着や妄想が表現されている。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
