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「枯野に窮死した先達を歎かずに、薄暮に先達を失った自分たち自身を歎いてゐる」

以前のリビジョンの文書です


lv3-「枯野に窮死した先達を歎かずに、薄暮に先達を失った自分たち自身を歎いてゐる」

Text

「『野ざらしを心に風のしむ身かな』――師匠は四五日前に、『かねては草を敷き、土を枕にして死ぬ自分と思つたが、かう云ふ美しい蒲団の上で、往生の素懐を遂げる事が出来るのは、何よりも悦ばしい』と繰返して自分たちに、礼を云はれた事がある。が、実は枯野のただ中も、この花屋の裏座敷も、大した相違がある訳ではない。(…)だから師匠はやはり発句の中で、しばしば予想を逞くした通り、限りない人生の枯野の中で、野ざらしになったと云って差支えない。自分たち門弟は皆師匠の最後を悼まずに、師匠を失った自分たち自身を悼んでゐる。枯野に窮死した先達を歎かずに、薄暮に先達を失った自分たち自身を歎いてゐる。が、それを道徳的に非難して見た所で、本来薄情に出来上つた自分たち人間をどうしよう。」(芥川龍之介「枯野抄」: 303)

Context Focus Standard Context
枯野に窮死した先達を歎かずに、薄暮に先達を失った自分たち自身を歎いてゐる (師匠の最後を悼まずに、師匠を失った自分たち自身を悼んでゐる)
Conceptual Mappings
Source Relation Target Pattern
枯れ野 = 人生 人生=原野
Figurative Construction
Construction
Mapping Schema
Functional Type
Rhetorical Effects
最終更新: 2020/09/14 23:39