「満足と悔恨とはまるで陰と日向のやうに」

「そこに横はつてゐた老俳諧師の病みほうけた顔を眺めると、或満足と悔恨との不思議に錯雑した心もちを、嫌でも味はなければならなかつた。しかもその満足と悔恨とは、まるで陰と日向のやうに、離れられない因縁を背負つて、実はこの四五日以前から、絶えず小心な彼の気分を掻乱してゐたのである。」

Context	Focus	Standard	Context
	陰と日向	（満足と悔恨）

	Category
1	直喩・シミリ (simile)
2	アナロジー・類推 (analogy)

	Source	Relation	Target	Pattern
1	ひなた	=	満足	満足=ひなた
2	陰	=	悔恨	悔い=ひなた

Construction	AとBとはまるでCとDのようにE
Mapping Type	概念メタファー

	Preceding	Morpheme	Following	Usage
1	A	と	B	と-「〜と〜と」
2	B	と［は］	E	と-「〜と〜と」
3	B	［と］は	E	は-既出のものに関する判断の主題
4		まるで	ように	ちょうど（ちょうど）
5	C	と	D	と-「〜と〜と」
6	D	の［ように］	E	の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
7	D	［の］ように	E	様-類似-連用形

Category	Effect
アナロジー・類推 (analogy)	満足と悔恨という背反的な感情が同時的に生起し、分離しがたいものであることを、日向があるから陰が生じるという陰と陽の相補的な関係に比することで表現する。