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「『埋火(うずみび)のあたたまりの冷むるが如く』息を引きとらうとしてゐた」

「『埋火(うずみび)のあたたまりの冷むるが如く』息を引きとらうとしてゐた」

Page Type Example
Example ID a1148
Author 芥川龍之介
Piece 「枯野抄」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 292

Text

この時、御堂前南久太郎町、花屋仁左衛門の裏座敷では、当時俳諧の大宗匠と仰がれた芭蕉庵松尾桃青が、四方から集つて来た門下の人人に介抱されながら、五十一歳を一期として、『埋火(うずみび)のあたたまりの冷むるが如く』、静に息を引きとらうとしてゐた。

Context Focus Standard Context
埋火のあたたまりの冷むる (静に息を引きとらうとしてゐた)

  • 「埋火」は灰のなかに埋めた炭。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 うずみ火 = 命=おき
2 消える = 死ぬ 死ぬ=消える

Grammar

Construction AがごとくB-C
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A が[ごとく] B が-格助詞「の」に同じ
2 A [が]ごとく B ごとし-類似-連用形
3 B - C 統語関係

  • 喩辞が引用文

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 埋火に比することで、消えかけながらも内部には熱さ(=生命)が宿っていることを表現する。また、その隠れた熱さがひっそりと冷めていくように、宗匠の命が静かになくなっていくことを表現する。
強調 (emphasis) 『』を伴うことで、埋火のイメージをより鮮明に思い起こさせる。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)