ex:a1079
「音を説明するためには言葉を省いて音譜を挿(はさ)み」
「音を説明するためには言葉を省いて音譜を挿(はさ)み」
Page Type | Example |
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Example ID | a1079 |
Author | 坂口安吾 |
Piece | 「FARCEに就て」 |
Reference | 『坂口安吾』 |
Pages in Reference | 50 |
Text
「単なる写実は実物の前では意味を成さない。単なる写実、単なる説明を文学と呼ぶならば、文学は、よろしく音を説明するためには言葉を省いて音譜を挿(はさ)み、蓄音機を挿み、風景の説明にはまた言葉を省いて写真を挿み、(超現実主義者、アンドレ・ブルトンの“Nadja”には後生大事に十数葉の写真を挿み込んでいる)、そしてよろしく文学は、トーキーの出現と共に消えてなくなれ。単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい。」
Context | Focus | Standard | Context |
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蓄音機を | 挿み | (代用し) |
- 「音譜」を挿むことから、実物を挟みこむことへ、虚構的に拡張する。表現の内容が概念から実物にわざと取り違えられている。
Rhetoric
Semantics
Source | Relation | Target | Pattern |
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Grammar
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Pragmatics
Category | Effect |
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隔語句反復・畳点法 (epanalepsis) | 「挿む」の反復によって、これらがある意味では同等のナンセンスさを持つことが暗示されている。 |
アナロジー・類推 (analogy) | 音の説明に代わって、音を出すための手がかりである「音譜」を挿むことから、さらに音を出すための道具を挟みこむことへ、虚構的に拡張する。 |
修辞的譲歩 (synchoresis) | 表現の内容が概念から実物にわざと取り違えることで、実物を文学として代用することのナンセンスさを導く。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)