ex:a1050

「提灯の火が一つ動き出して」

「提灯の火が一つ動き出して」

Page Type Example
Example ID a1050
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 44

Text

こう思って暫く彳(たたず)んでいると、やがて吾妻橋(あずまばし)の方の暗闇から、赤い提灯の火が一つ動き出して、がらがらがらと街鉄(がいてつ)の鋪(し)き石の上を駛走(しそう)して来た旧式な相乗りの俥(くるま)がぴたりと私の前で止まった。

Context Focus Standard Context
提灯の火 (俥) が一つ動き出して

  • 徐々に見えが確定していく様子を描写している。俥は人力車を指す。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ちょうちん > 人力車 あんどん>馬車

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
描写 (description) 暗闇のなかで遠く離れている俥をそれとは視認できず、提灯の光のみが目に入った様を描く。
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 語り手の視界を表現することで、読者に臨場感を与える。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)