ex:a1000
「麗はしきこと高山植物のごとく、単なる植物ではなかった」
「麗はしきこと高山植物のごとく、単なる植物ではなかった」
| Page Type | Example |
|---|---|
| Example ID | a1000 |
| Author | 坂口安吾 |
| Piece | 「風博士」 |
| Reference | 『坂口安吾』 |
| Pages in Reference | 13-14 |
Text
「余の妻は麗はしきこと高山植物のごとく、実に単なる植物ではなかったのである。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| 植物 | 妻 |
Rhetoric
| Category | |
|---|---|
| 1 | メタ言語 (metalanguage) |
| 2 | 人物描写 (description of a character) |
| 3 | 直喩・シミリ (simile) |
| 4 | 強調反復 (diacope) |
Semantics
- 「高山植物」にたとえた後で、「植物」ではないと否定することで、直喩の解釈が変更される。
- 「植物」ではないという否定を文字通りにとると、比喩性を否定しているともとれる。
Grammar
| Construction | Aは実にBではなかったのである |
|---|---|
| Mapping Type | 概念メタファー |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|---|
| A | Target |
| B | Source |
| Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A | は | B | は-既出のものに関する判断の主題 |
| 2 | 実に | B | 全く(まったく) | |
| 3 | B | で[はなかったのである] | て-補助用言に連なる用法 | |
| 4 | B | [で]は[なかったのである] | は-否定的主張 | |
| 5 | B | [では]なかっ[たのである] | ない(ない) | |
| 6 | B | [ではなかっ]た[のである] | た-過去-連体形 | |
| 7 | B | [ではなかった]の[である] | の-「〜のだ」 | |
| 8 | B | [ではなかったの]で[ある] | て-補助用言に連なる用法 | |
| 9 | B | [ではなかったので]ある | ある(ある) |
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| 人物描写 (description of a character) | 物静かであるという性質を無意志的な事物である植物を引き合いに出すことで表現する。 |
| 強調反復 (diacope) | 「高山植物」の比喩が、単なる植物の比喩ではなく、珍しい美しい植物によって喩えていることを強調して注釈している。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
