ex:a0697
「虎狼と一つ檻にでもゐるやうな心もち」
「虎狼と一つ檻にでもゐるやうな心もち」
| Page Type | Example |
|---|---|
| Example ID | a0697 |
| Author | 芥川龍之介 |
| Piece | 「地獄変」 |
| Reference | 『芥川龍之介』 |
| Pages in Reference | 118 |
Text
「その癖、屏風の何が自由にならないのだか、それは誰にもわかりません。又、誰もわからうとしたものもございますまい。前のいろいろな出来事に懲りてゐる弟子たちは、まるで虎狼と一つ檻にでもゐるやうな心もちで、その後師匠の身のまはりへは、成る可く近づかない算段をして居りましたから。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| 虎狼と一つ檻にでもゐる | 心もち |
Rhetoric
| Category | |
|---|---|
| 1 | 直喩・シミリ (simile) |
| 2 | 明晰 (clarity) |
| 3 | イメジャリー・イメージ (imagery) |
| 4 | ユーモア (humour) |
| 5 | 心理描写 (psychological-description) |
Semantics
| Source | Relation | Target | Pattern |
|---|
Grammar
| Construction | AはまるでBような心持ちでC |
|---|---|
| Mapping Type | 概念メタファー |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|---|
| A | Elaboration |
| B | Source |
| C | Target |
| Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A | は[まるで] | C | は-既出のものに関する判断の主題 |
| 2 | [は]まるで | ちょうど(ちょうど) | ||
| 3 | B | ような[心持ちで] | C | 様-類似-連体形 |
| 4 | B | [ような]心もち[で] | C | 気持ち(きもち) |
| 5 | B | [ような心もち]で | C | で-状態・態度・立場 |
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| 明晰 (clarity) | 虎と一緒の檻に入るという仮想的な状況を設定し、凶暴な虎を刺激して襲われないように気をつける檻の中の人物の慎重さを想起させることで、師匠を恐れてなるべく近づかないようにしている弟子たちの様子を具体化している。 |
| イメジャリー・イメージ (imagery) | 当該文脈とは内容的に独立し、かつ具体的な状況を持ち出すことで、映像的な理解を促している。 |
| ユーモア (humour) | 「虎狼」と同じ檻にいるという尋常でない場面であることが、大仰な印象を与え、滑稽さを演出している。 |
| 心理描写 (psychological-description) | 虎狼と同じ檻に入れられるという仮想的な設定を持ち出すことで、弟子たちが師匠に対して抱いていた恐れを描いている。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
