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「まるで卍のやうに、墨を飛ばした黒煙と金粉を煽つた火の粉とが、舞ひ狂つて居る」
「まるで卍のやうに、墨を飛ばした黒煙と金粉を煽つた火の粉とが、舞ひ狂つて居る」
| Page Type | Example |
|---|---|
| Example ID | a0691 |
| Author | 芥川龍之介 |
| Piece | 「地獄変」 |
| Reference | 『芥川龍之介』 |
| Pages in Reference | 100 |
Text
「同じ地獄変と申しましても、良秀の描きましたのは、外の絵師のに比べますと、第一図取りから似て居りません。それは一帖の屏風の片隅へ、小さく十王を始め眷属たちの姿を描いて、あとは一面に紅蓮大紅蓮の猛火が剣山刀樹も爛れるかと思ふ程渦を巻いて居りました。でございますから、唐めいた冥官たちの衣裳が、点々と黄や藍を綴つて居ります外は、どこを見ても烈々とした火焔の色で、その中をまるで卍のやうに、墨を飛ばした黒煙と金粉を煽つた火の粉とが、舞ひ狂つて居るのでございます。」
| Context | Focus | Standard | Context |
|---|---|---|---|
| 卍 | 墨を飛ばした黒煙と金粉を煽つた火の粉 | 舞ひ狂つて居る |
Rhetoric
Semantics
Grammar
| Construction | まるでAのようにBがC |
|---|---|
| Mapping Type | 概念メタファー |
| Lexical Slots | Conceptual Domain |
|---|---|
| A | Source |
| B | Target |
| C | Elaboration |
| Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | まるで | A | ちょうど(ちょうど) | |
| 2 | A | の[ように] | C | の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合 |
| 3 | A | [の]ように | C | 様-類似-連用形 |
| 4 | B | が | C | が-主語 |
Pragmatics
| Category | Effect |
|---|---|
| 明晰 (clarity) | 黒煙や金粉が舞い上がっていく様子に具体的な「卍」の形を与える。 |
| イメジャリー・イメージ (imagery) | 黒煙や金粉の舞い上がり方に、「卍」型を編成するかのような秩序が感じられる。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
