ex:a0688
「私どもが、魂も消えるばかりに思つた」
「私どもが、魂も消えるばかりに思つた」
Text
「が、その数多い御逸事の中でも、今では御家の重宝になつて居ります地獄変の屏風の由来程、恐ろしい話はございますまい。日頃は物に御騒ぎにならない大殿様でさへ、あの時ばかりは、流石(さすが)に御驚きになつたやうでございました。まして御側に仕へてゐた私どもが、魂も消えるばかりに思つたのは、申し上げるまでもございません。」
Context | Focus | Standard | Context |
---|---|---|---|
魂も消える | (思つた) |
Rhetoric
Semantics
Source | Relation | Target | Pattern |
---|
Grammar
Construction | AがBばかりに思った |
---|---|
Mapping Type | 概念メタファー |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
---|---|
A | Target |
B | Source |
Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
---|---|---|---|---|
1 | A | が | B | が-主語 |
2 | B | ばかり[に思った] | ばかり-いまにも〜しようとする状態 | |
3 | B | [ばかり]に[思った] | に-変化・帰着させる状態 | |
4 | B | [ばかりに]思っ[た] | 思う(おもう) | |
5 | B | [ばかりに思っ]た | た-過去-連体形 |
- 「た」は語りで過去の事を話していると解釈した。
Pragmatics
Category | Effect |
---|---|
誇張法 (hyperbole) | 人間の根本である魂が消失するほどの心理的衝撃であることを表示することで、当該の状況で感じる恐怖の極大性を表現する。 |
心理描写 (psychological-description) | 魂の消失という非現実的な出来事を引き合いに出すことで、側に仕える際に抱いた感情が描かれている。 |
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)