ex:a0635

「ザアッという本降りになって」

「ザアッという本降りになって」

Page Type Example
Example ID a0635
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 107

Text

渓の上手の方を見あげると、薄白い雲がずんずんと押して来て、瞬く間に峯巒(ほうらん)を蝕み、巌を蝕み、松を蝕み、忽ちもう対岸の高い巌壁をも絵心に蝕んで、好い景色を見せてくれるのは好かったが、その雲が今開いてさしかざした蝙蝠傘(こうもり)の上にまで蔽いかぶさったかと思うほど低く這下って来ると、堪らない、ザアッという本降りになって、林木(りんぼく)も声を合せて、何の事はないこの山中に入って来た他国者をいじめでもするように襲った。

Context Focus Standard Context
ザアッ () という本降りになって

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ざあっと > 本降り 雨->一雨

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
声喩・オノマトペ (onomatoeia) 「Xという」という構文によって、オノマトペが、そのオノマトペが示す音を生み出す雨のことを意味している。
音象徴 (sound symbolism) 濁点により、雨の勢いが強いことが感じられる。
音象徴 (sound symbolism) 促音により、本降りが一瞬のうちに始まったことが感じられる。
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) オノマトペの使用によって、目の前の風景を見たままに描写しているような印象を与える。
自然描写 (description of nature) 雨が強く降り始める様子が、周囲の様子とともに描かれている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)