ex:a0634

「ほん物の雨もはらはらと遣って来た」

「ほん物の雨もはらはらと遣って来た」

Page Type Example
Example ID a0634
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 106-107

Text

天(そら)は先刻(さっき)から薄暗くなっていたが、サーッというやや寒い風が下して来たかと見る間に、楢(なら)や槲(かしわ)の黄色な葉が空からばらついて降って来ると同時に、木の葉の雨ばかりではなく、ほん物の雨もはらはらと遣って来た。

Context Focus Standard Context
雨も はらはらと () 遣って来た

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 はらはら > 木の葉 ちらり>葉
2 木の葉 = 雨=葉

  • 「木の葉の雨」では木の葉が雨に喩えられている。通常は「木の葉」に用いられる「はらはら」というオノマトペを「ほん物の雨」に使うことで、ここでは逆に、雨が木の葉に喩えられている。

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
声喩・オノマトペ (onomatoeia) 「木の葉」のコンテクストと呼応して、雨の降る様子が、木の葉が落ちる様子のように感じられる。
重義法・秀句 (pun) 「はらはら」が、木の葉が落ちる様子と雨の降る様子を同時に表現しているように感じられる。
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) オノマトペの使用によって、目の前の風景を見たままに描写しているような印象を与える。
自然描写 (description of nature) 雨の降る様子が、木の葉が落ちる様子とも重なりながら描かれている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)