ex:a0349

「雪の色も仄に青く煙つてゐる」

「雪の色も仄に青く煙つてゐる」

Page Type Example
Example ID a0349
Author 芥川龍之介
Piece 「芋粥」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 64

Text

利仁は、微笑を含みながら、わざと、五位の顔を見ないやうにして、静に馬を歩ませてゐる。両側の人家は、次第に稀になつて、今は、広々とした冬田の上に、餌をあさる鴉が見えるばかり、山の陰に消残つて、雪の色も仄に青く煙つてゐる

Context Focus Standard Context
雪の色も仄に青く 煙つてゐる (わずかに残っている)

  • その日は「冬とは云ひながら、物静に晴れた日で、白けた河原の石の間、潺湲せんくわんたる水の辺ほとりに立枯れてゐる蓬よもぎの葉を、ゆする程の風もない」とある。山肌の陰の部分の木などに降り積もった雪がわずかに残った様を表しているか。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 煙る = 残る 残る=かすむ

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
自然描写 (description of nature) 雪の色が、火が消えた後もわずかに立ち昇り続ける煙のように、冬田の上にほんの少しだけ残っているという様が描写されている。
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 火が消えた後もわずかに立ち昇り続ける煙のように表現されていることで、雪の色が、目の前に見るように描写される。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)