ex:a0324
          「大変耳の悪い群衆は、次郎助へこう親切にとりついでやった」
「大変耳の悪い群衆は、次郎助へこう親切にとりついでやった」
| Page Type | Example | 
|---|---|
| Example ID | a0324 | 
| Author | 坂口安吾 | 
| Piece | 「村のひと騒ぎ」 | 
| Reference | 『坂口安吾』 | 
| Pages in Reference | 41 | 
Text
「『次郎助や、一番安いのを一升だけ……』だが、大変耳の悪い群衆は、次郎助へこう親切にとりついでやった。『いい酒を一樽だとよ!』」
| Context | Focus | Standard | Context | 
|---|---|---|---|
| 耳の悪い | (意地悪な) | 
- 「耳の悪い」という形容によって、「親切にとりついでやった」ことが、あからさまなアイロニーであるにもかかわらず、あたかも文字通りの意味で(聞き間違えて)とりついだかのように理解することができる。
 
Rhetoric
Semantics
| Source | Relation | Target | Pattern | 
|---|
Grammar
| Construction | |
|---|---|
| Mapping Type | 
| Lexical Slots | Conceptual Domain | 
|---|
| Preceding | Morpheme | Following | Usage | 
|---|
Pragmatics
| Category | Effect | 
|---|---|
| 当てこすり (innuendo) | 「群衆」の意地の悪い様は、ここではアイロニー的に「親切に」と描写されているが、このアイロニーの文字通りの意味が合理的に理解できるような(こじつけの)文脈として「耳の悪い」ことが説明されている。ただし、「群衆」が耳が悪いわけではないことは明かであるため、「耳の悪い」それ自体も皮肉な当てこすりの働きをしている。 | 
| 含意法 (implication) | 「耳の悪い」という明らかに偽の描写をすることによって、群衆の意地の悪さを仄めかしている。 | 
最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)
       