ex:a0270

「これがホンマのアヤツリ芝居じゃ」

「これがホンマのアヤツリ芝居じゃ」

Page Type Example
Example ID a0270
Author 夢野久作
Piece 「いなか、の、じけん」
Reference 『夢野久作全集第1』
Pages in Reference 55

Text

しかしいくら小突かれても若い主人はアヤツリのようにうなだれて、首をグラグラさせるばかりであった。二三人見かねて止めに這入って来たが、一番うしろの男は表の人だかりをふり返って、ペロリと赤い舌を出した。『これがホンマのアヤツリ芝居じゃ』

Context Focus Standard Context
アヤツリ芝居 (夫婦喧嘩)

  • この部分は「空家(あきや)の傀儡踊(あやつり)」の一部である。冒頭に「その出外れの裏表二間(ふたま)をあけ放した百姓家の土間に、一人の眼のわるい乞食爺(こじきじじい)が突立って、見る人も無く、聞く人も無いのにアヤツリ人形を踊らせている。」とある。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 芝居 = けんか 悶着=演劇

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 若い主人が自らは何の反応も示さず、小突かれるに身を任せるだけでいる様が、操り人形が人形師に意のままに操られる人形劇のイメージを通して、視覚的に表現されている。
アナロジー・類推 (analogy) 操り人形と人形師との関係をもとに、小突かれる主人と小突いている人との関係が分かりやすく表現されている。
寓意・アレゴリー (allegory) 直前の「アヤツリのように」に連なる表現。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 無生物である操り人形になぞらえることで、主人の生気・意志のなさが描かれている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)