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「内にあっては救済組織であるけれども外に出でてはアルコールの獲得組織で」

Page Type Example
Example ID a1643
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 255

Text

内にあっては才能の貧困の救済組織であるけれども外に出でてはアルコールの獲得組織で、この徒党は国民酒場を占領し三四本ずつビールを飲み酔っ払って芸術を論じている。

Context Focus Standard Context
外に出でては アルコールの獲得組織 (飲んだくれ)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 酔っ払う ←→ 救済する 酔う<-->助ける

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
ユーモア (humour) 単に酒を手に入れるための集まりを大げさに「アルコールの獲得組織」と呼称することで、滑稽な効果を生んでいる。
アナロジー・類推 (analogy) 才能の無い人間が酔っ払っている様子を、人間の外面と内面の対比として表現し、「救済組織」と「獲得組織」の対としてパラレルに位置づけている。
殊句 (-) 「貧困の救済組織」はある程度慣習化した表現あるであるのに対して、この形式のアナロジーを適用した「アルコールの獲得組織」は新奇的に生み出された表現であるといえる。
対照法・対照 (antithesis) 「内」と「外」の対比にもとづいて、「貧困の救済」と「アルコールの獲得」を対比している。構文もパラレリズムも対比に関与する。
皮肉・反語・アイロニー (irony) 「才能の貧困の救済組織」から「アルコールの獲得組織」への換言が、皮肉な態度を表現している。
評価 (evaluation) 当該の集団に大袈裟な呼称を与えることで、その実態に対する皮肉を込めた否定的な評価を与えている。