目次

「崖から剥ぎ取られたようにすっと落ちた」

Page Type Example
Example ID a2037
Author 太宰治
Piece 「魚服記」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 11

Text

学生が、絶壁のなかばに到達したとき、足だまりにしていた頭ほどの石ころがもろくも崩れた。崖から剥ぎ取られたようにすっと落ちた。途中で絶壁の老樹の枝にひっかかった。

Context Focus Standard Context
崖から剥ぎ取られた (すっと落ちた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 はぎ取る = 落とす 落とす=はぐ

Grammar

Construction AようにBとC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A ように C 様-類似-連用形
2 B C と-副詞語尾

Pragmatics

Category Effect
擬人法 (personification) 「剥ぎ取られた」という動詞句を用いることで、足場にしていた石が崩れてしまい絶壁を登っていた当該人物が落ちる様子に、何物かの意志的な行為によって引き起こされた事態であるかのような印象を与える。
イメジャリー・イメージ (imagery) 面に強く接着・吸着しているものを剥ぎ取る際の抵抗感を喚起し、当該の学生が最後まで崖にしがみつこうとしていたことを示唆する。