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「この道だけが天国に通じている」

Page Type Example
Example ID a1614
Author 坂口安吾
Piece 「続堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 239

Text

悪徳はつまらぬものであるけれども、孤独という通路は神に通じる道であり、善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや、とはこの道だ。キリストが淫売婦にぬかずくのもこの曠野(こうや)のひとり行く道に対してであり、このだけが天国に通じているのだ。何万、何億の堕落者は常に天国に至り得ず、むなしく地獄をひとりさまようにしても、この道が天国に通じているということに変りはない。

Context Focus Standard Context
この () だけが天国に通じている

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 手段 方法=道

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
寓意・アレゴリー (allegory) 直前の「神に通じる道」「この曠野のひとり行く道」に連なる表現。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 孤独を選ぶという生き方が天国にたどり着くための唯一の方法であるということについて、現世から天国に通じる道が実体として存在するような印象を与える。
アナロジー・類推 (analogy) 現世から天国に通じる道のイメージによって、天国が実在の具体的な場所として提示される。
定義 (definition) 「孤独」がどのようなものであるのかを規定している。