Page Type | Example |
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Example ID | a1208 |
Author | 梶井基次郎 |
Piece | 「ある心の風景」 |
Reference | 『梶井基次郎』 |
Pages in Reference | 294-295 |
「喬は腰に朝鮮の小さい鈴を提(さ)げて、そんな夜更け歩いた。それは岡崎公園にあった博覧会の朝鮮館で友人が買って来たものだった。銀の地に青や赤の七宝がおいてあり、美しい枯れた音がした。人びとのなかでは聞こえなくなり、夜更けの道で鳴り出すそれは、彼の心の象徴のように思えた。(…)そんな時朝鮮の鈴は、喬の心を顫(ふる)わせて鳴った。ある時は、喬の現身(うつせみ)は道の上に失われ鈴の音だけが町を過るかと思われた。またある時それは腰のあたりに湧(わ)き出して、彼の身体の内部へ流れ入る澄み透った溪流のように思えた。それは身体を流れめぐって、病気に汚れた彼の血を、洗い清めてくれるのだ。『俺はだんだん癒ってゆくぞ』 コロコロ、コロコロ、彼の小さな希望は深夜の空気を清らかに顫(ふる)わせた。」
Context | Focus | Standard | Context |
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コロコロ、コロコロ、彼の小さな | 希望 | (鈴) | は深夜の空気を清らかに顫わせた |
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Category | Effect |
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象徴・シンボル (symbol) | 前の文で、鈴が喬の心情の象徴であると表現されており、そこから発展して、喬の心情と鈴の音が同じものとなっている印象を与える。 |
殊句 (-) | 街中に小さく響く鈴の音を、印象深く叙述する。 |