概念コントラスト (conceptual contrast) は、ある尺度において対比される2つの要素の写像関係である。概念メタファー、概念メトニミーは認知言語学で取り沙汰されてきたが、概念コントラストは、このコーパスで独自に設けた類である。その設定理由はきわめて実際的なもので、撞着語法・対義結合・オクシモロン (oxymoron)、皮肉・反語・アイロニー (irony)、逆説・パラドクス (paradox)などの、対比・矛盾系のレトリックの意味記述には、対比関係の記述が必要であるからである。対比 (contrast) は、概念メトニミーの下位区分であると考えるアプローチもあるが、このコーパスでは、独立した概念基盤として記述する。
皮肉・反語・アイロニー (irony)は語用論では最もよく論じられてきたレトリックの一つであるが、認知言語学では、アイロニーの概念的体系を記述する研究はなされてこなかった。「素晴らしい天気!」で大雨を描写する、といった典型例では、素晴らしい←→最悪、のような評価の対比が重要であることは明らかである。このコーパスでは、撞着語法・対義結合・オクシモロン (oxymoron)や逆説・パラドクス (paradox)の基盤も、同様の対比関係であると考え、個別の用例の意味クラスを記述することで、概念コントラストの体系を素描することを目指す。
概念コントラストと、概念メタファー・概念メトニミーが大きく異なるのは、概念コントラストの関係は対称的であるということである。概念コントラストのRelationは「←→」で示す。
リストを見ると、意外な組み合わせが対比される例があることが分かる。コンテクストによっては、語彙的に慣習化された反対関係によらず、2つの概念が反対であるとみなされる場合がある。
タグ | # |
---|---|
空の出力 |