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「身内に浸み透ってゆくようなその冷たさ」

Page Type Example
Example ID a2376
Author 梶井基次郎
Piece 「檸檬」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 17

Text

その檸檬(れもん)の冷たさはたとえようもなくよかった。その頃私は肺尖(はいせん)を悪くしていていつも身体に熱が出た。事実友達の誰彼(だれかれ)に私の熱を見せびらかすために手の握り合いなどをしてみるのだが、私の掌が誰のよりも熱かった。その熱い故(せい)だったのだろう、握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった。

Context Focus Standard Context
浸み透ってゆく 冷たさ

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 染み透る > 冷たさ 染みる>熱

Grammar

Construction AようなB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A ような B 様-類似-連体形

Pragmatics

Category Effect
カテゴリー転換 (-) 冷気を液体に、肌を浸透箇所として捉えることで、液体の浸透をイメージさせる。
イメジャリー・イメージ (imagery) 火照った手のひらにレモンを握った時に当該人物が感じた冷たさを、冷気が自分の体内に入り込むという生理感覚的なイメージによって表現する。