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「背を焼くような借金などがいけないのではない」

Page Type Example
Example ID a2351
Author 梶井基次郎
Piece 「檸檬」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 11

Text

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧(おさ)えつけていた。焦躁(しょうそう)と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔(ふつかよい)があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。これはちょっといけなかった。結果した肺尖(はいせん)カタルや神経衰弱がいけないのではない。また背を焼くような借金などがいけないのではない。いけないのはその不吉な塊だ。

Context Focus Standard Context

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 借金 借り=火

Grammar

Construction AようなB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A ような B 様-類似-連体形

Pragmatics

Category Effect
イディオム・慣用表現 (idiom) 「重荷」などのように心理的な負担感を背中の負担感になぞらえる慣用的な言い回しをもとにした表現。
イメジャリー・イメージ (imagery) 背中を焼く炎になぞらえることで、借金がそれと同様に身体的な苦痛をもたらすものであるかのような印象を与える。
評価 (evaluation) 背中を焼く炎になぞらえることで、苦痛や損害を与えるものとして借金を否定的に評価する。