「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧(おさ)えつけていた。焦躁(しょうそう)と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔(ふつかよい)があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。これはちょっといけなかった。結果した肺尖(はいせん)カタルや神経衰弱がいけないのではない。また背を焼くような借金などがいけないのではない。いけないのはその不吉な塊だ。」
Context | Focus | Standard | Context |
---|---|---|---|
宿酔 | 嫌悪 | に相当した時期 |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
---|---|
A | Source |
B | Target |
Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
---|---|---|---|---|
1 | A | に[相当した] | B | に-比較の基準 |
2 | A | [に]相当[した] | B | よほど(よほど) |
3 | A | [に相当]し[た] | B | する(する) |
4 | A | [に相当し]た | B | た-存続-連体形 |
Category | Effect |
---|---|
心理描写 (psychological-description) | 二日酔いの極めて不快な状態を想起させることで、言葉にできない不快な心理的状態を描く。 |
イメジャリー・イメージ (imagery) | 心理という抽象体を具体的な肉体的状態である二日酔いに比することで、漠然として自分にも理解しきれない心的状態の辛さをイメージさせる。 |