目次

「胸の真上に蔽(おお)いかぶさって来る真黒な重み」

Page Type Example
Example ID a2345
Author 中島敦
Piece 「牛人」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 291

Text

今や胸の真上に蔽(おお)いかぶさって来る真黒な重みに、最後の悲鳴を挙げた途端に、正気に返った。

Context Focus Standard Context
真黒な () 重み

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 真っ黒 = 不安な 心配=黒い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
カテゴリー転換 (-) 「重み」という力に、「真黒」という視覚的特性を付与することで、目で見ることのできる対象であるかのような印象を与える。
イメジャリー・イメージ (imagery) 当該人物が感じた「重み」に、「黒」という色がもつ「圧迫感」「絶望」「死」などのあらゆる含みを加える。
描写 (description) 「黒」という色が持つ「圧迫感」「絶望」「死」などのあらゆる含みが、物理的な「重み」となって覆いかぶさってくる様子を描くことで、この夢が不吉な出来事(死)の予知夢であることを多層的に表している。
縁語・縁装法 (-) 本作品では、この「黒」というのはのちに実際に男を殺す息子「豎牛」(黒い牛男)そのものを指している。