目次

「太陽や地球もそのなかに浮(うか)んでいるのです」

Page Type Example
Example ID a2285
Author 宮沢賢治
Piece 「銀河鉄道の夜」
Reference 『新編銀河鉄道の夜』
Pages in Reference 188

Text

先生はまた云いました。 『ですからもしもこの天の川がほんとうに川だと考えるなら、その一つ一つの小さな星はみんなその川のそこの砂や砂利(じゃり)の粒にもあたるわけです。またこれを巨きな乳の流れと考えるならもっと天の川とよく似ています。つまりその星はみな、乳のなかにまるで細かにうかんでいる脂油(しゆ)の球にもあたるのです。そんなら何がその川の水にあたるかと云いますと、それは真空という光をある速さで伝えるもので、太陽や地球もやっぱりそのなかに浮(うか)んでいるのです。つまりは私どもも天の川の水のなかに棲(す)んでいるわけです。そしてその天の川の水のなかから四方を見ると、ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集って見えしたがって白くぼんやり見えるのです。この模型をごらんなさい。』

Context Focus Standard Context
太陽や地球もやっぱりそのなかに 浮んでいる (ある)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 浮かぶ = ある ある=浮く

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 天の川を実際の川になぞらえたうえで、太陽や地球を真空という水の中に浮かぶ砂つぶに対応づける表現。
寓意・アレゴリー (allegory) 天の川を構造化する一連の隠喩表現の一部をなしている。