目次

「湯気が屏風のように立騰っている」

Page Type Example
Example ID a2143
Author 梶井基次郎
Piece 「泥濘」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 222

Text

路に沿うた竹藪(たけやぶ)の前の小溝(こみぞ)へは銭湯で落す湯が流れて来ている。湯気が屏風(びょうぶ)のように立騰っていて匂いが鼻を撲(う)った――自分はしみじみした自分に帰っていた。風呂屋の隣りの天ぷら屋はまだ起きていた。自分は自分の下宿の方へ暗い路を入って行った。

Context Focus Standard Context

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 屏風 = 湯気 湯煙=つい立て

Grammar

Construction AがBのようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 屏風という幅・高さどちらも備える事物を引き合いに出すことで、立ち昇る銭湯の湯気の一定の幅や、それが垂直に上昇する様子を想起させる。
風景描写 (scene-description) 屏風の大きさや形になぞらえることで、立ち昇る湯気の形体と様子を描いている。