「自分はぼんやりしてしまっていた。その不活溌な状態は平常経験するそれ以上にどこか変なところのある状態だった。花が枯れて水が腐ってしまっている花瓶(かびん)が不愉快で堪(たま)らなくなっていても始末するのが億劫で手の出ないときがある。見るたびに不愉快が増して行ってもその不愉快がどうしても始末しようという気持に転じて行かないときがある。それは億劫というよりもなにかに魅せられている気持である。自分は自分の不活溌のどこかにそんな匂いを嗅いだ。」
Context | Focus | Standard | Context |
---|---|---|---|
自分の不活溌のどこかに | 匂いを嗅いだ | (気配を感じた) |
Construction | |
---|---|
Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
---|
Preceding | Morpheme | Following | Usage |
---|
Category | Effect |
---|---|
アナロジー・類推 (analogy) | どこからともなく漂ってくる匂いを嗅ぐことでその元となる存在をうっすらと感知するように、何かに魅せられている気持ちが「自分」の不活発さを通じてぼんやりと感じとられたという印象を与える。 |