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「自分の不活溌のどこかにそんな匂いを嗅いだ」

Page Type Example
Example ID a2116
Author 梶井基次郎
Piece 「泥濘」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 209

Text

自分はぼんやりしてしまっていた。その不活溌な状態は平常経験するそれ以上にどこか変なところのある状態だった。花が枯れて水が腐ってしまっている花瓶(かびん)が不愉快で堪(たま)らなくなっていても始末するのが億劫で手の出ないときがある。見るたびに不愉快が増して行ってもその不愉快がどうしても始末しようという気持に転じて行かないときがある。それは億劫というよりもなにかに魅せられている気持である。自分は自分の不活溌のどこかにそんな匂いを嗅いだ

Context Focus Standard Context
自分の不活溌のどこかに 匂いを嗅いだ (気配を感じた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 においがする = 感じる 感じる・感ずる=におう

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) どこからともなく漂ってくる匂いを嗅ぐことでその元となる存在をうっすらと感知するように、何かに魅せられている気持ちが「自分」の不活発さを通じてぼんやりと感じとられたという印象を与える。