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「有頂天こそ嘘の結晶だ」

Page Type Example
Example ID a2113
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 59

Text

だしぬけに三郎は叫んだ。判ります、判ります。次郎兵衛はその叫び声のために眼をさましてしまった。濁った眼をぼんやりあけて、何事ですか、と三郎に尋ねた。三郎はおのれの有頂天に気づいて恥かしく思った。有頂天こそ嘘の結晶だ、ひかえようと無理につとめたけれど、酔いがそうさせなかった。

Context Focus Standard Context
嘘の 結晶 ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 結晶 = 極め付き 証=結晶

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
評価 (evaluation) 液体の中にあってはっきりと視認できる具体的な形をとる結晶のように、有頂天こそが様々な嘘の中でも最も明確な嘘と認められるものだという評価を示している。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 液体の中にあってはっきりと視認できる具体的な形をとる結晶のイメージを喚起することで、「嘘をつく」行為や「有頂天」の状態に水溶液や結晶と同等の実体性を付与する。