目次

「次第次第に濃い嘘を吐いていって、切磋琢磨され、ようやく真実の光を放つ」

Page Type Example
Example ID a2102
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 56

Text

重苦しくてならぬ現実を少しでも涼しくしようとして嘘をつくのだけれども、嘘は酒とおなじようにだんだんと適量がふえて来る。次第次第に濃い嘘を吐いていって、切磋琢磨され、ようやく真実の光を放つ。

Context Focus Standard Context
濃い ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 濃い = ひどい すごい=濃い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
寓意・アレゴリー (allegory) 直前の「嘘は酒とおなじ」に連なる表現。
アナロジー・類推 (analogy) 言葉(「嘘」)を発することを、唾などの具象物を吐く様子に喩えることで、嘘を吐くという生理的行為のように行ってきたこと、吐かれた嘘は形として残るという解釈が生じる。その上で、嘘の質(たち)の悪さがその濃度と対応することで、外に出た後に強い力を持って長く残り続けることが巧みに示唆される。
描写 (description) 「嘘をつく」という行為がどのようなものであるのかを説明している。