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「細長い両脚で空気を掻くようにうごかして」

Page Type Example
Example ID a2085
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 49

Text

突きおとされた豆腐屋の末っ子は落下しながら細長い両脚で家鴨のように三度ゆるく空気を掻くようにうごかして、ぼしゃっと水面へ落ちた。

Context Focus Standard Context
空気を掻く 動かして

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 かく = 動かす 動く=かく

Grammar

Construction AはBようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
寓意・アレゴリー (allegory) 当該比喩文の前に、人を家鴨に比することで、「掻く」という水中における動作を導出する。
アナロジー・類推 (analogy) 突き落とされて落下する「豆腐屋の末っ子」を鴨に比し、空気:水、鴨の水かき:手の動きという比例関係を作ることで、泳ぐときの腕の動かし方と当該の腕の動きが同じであるとして、その様態を具体化する。
カテゴリー転換 (-) 落ちまいと必死に手足を動かす「豆腐屋の末っ子」の動作に、あたかも空気が水のように「掻く」ことができるかのような印象を付与する。
イメジャリー・イメージ (imagery) 落下しながら足をばたつかせる様子を水中で足をばたつかせる家鴨のイメージによって表現する。