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「水源の濁り水は家々の土台石を舐め」

Page Type Example
Example ID a2061
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 29

Text

水源の濁り水は大渦小渦を巻きながらそろそろふくれあがって六本の支流を合せてたちまち太り、身を躍らせて山を韋駄天いだてんばしりに駈け下りみちみち何百本もの材木をかっさらい川岸の樫かしや樅もみや白楊はこやなぎの大木を根こそぎ抜き取り押し流し、麓の淵で澱んで澱んでそれから一挙に村の橋に突きあたって平気でそれをぶちこわし土手を破って大海のようにひろがり、家々の土台石を舐め豚を泳がせ刈りとったばかりの一万にあまる稲坊主を浮かせてだぶりだぶりと浪打った。

Context Focus Standard Context
水源の濁り水は…家々の土台石を 舐め ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 なめる = 流れる 流れる=なめる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) あたかも土台石を舐める舌の滑らかな動きになぞらえることで、水が石を濡らしながらそれにぴったり沿って流れて行く様子を具体的に想起させる。
自然描写 (description of nature) 土台石を舐める舌の動きを引き合いに出すことで、川の水の動きを描く。