目次

「客から客へ滑り歩いてお酌して廻って」

Page Type Example
Example ID a2024
Author 太宰治
Piece 「ヴィヨンの妻」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 440

Text

ただ笑って、お客のみだらな冗談にこちらも調子を合せて、更にもっと下品な冗談を言いかえし、客から客へ滑り歩いてお酌して廻って、そうしてそのうちに、自分のこのからだがアイスクリームのように溶けて流れてしまえばいい、などと考えるだけでございました。

Context Focus Standard Context
滑り (滑らかに) 歩いて

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 滑る = 歩く 歩く=滑る

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
カテゴリー転換 (-) 滑らかな移動を、氷の上を滑っていることとして捉える。
人物描写 (description of a character) 客から客へと移動しながら相手をして回る様が、何に遮られることもなく一定の速度を保ったまま滑らかであった、ということが表現されている。
含意法 (implication) どの客とも実のあるやりとりはしておらず、とにかく適当に当たり障りのないことばを交わしていただけであった、という含みがある。