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「それは彼自身には手足を縛られるのも同じことだった」

Page Type Example
Example ID a1987
Author 芥川龍之介
Piece 「或阿呆の一生」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 422

Text

彼の親戚は彼の弟に『彼を見慣え』と言いつづけていた。しかしそれは彼自身には手足を縛られるのも同じことだった。

Context Focus Standard Context
手足を縛られる (「彼を見慣え」と言われること)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 縛り上げる = 見習う 習う=縛る

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Elaboration
C Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A 同じことだった は-既出のものに関する判断の主題
2 B に[は] 同じことだった に-評価の基準
3 B [に]は 同じことだった は-事態の提示(格助詞)
4 C の[も同じことだった] の-体言と同じ資格
5 C [の]も[同じことだった] も-既知のものと同様(副詞的修飾語)
6 C [のも]同じ[ことだった] 同じ(おなじ)
7 C [のも同じ]こと[だった] 事(こと)
8 C [のも同じこと]だっ[た] だ-断定・指定-連用形
9 C [のも同じことだっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 弟に対して親戚が「彼」を見習えと命ずることが、「彼」にとって模範足り得るように行動することを強いるように感じられることを、「手足を縛られる」という行動の制限によって表現する。
カテゴリー転換 (-) 心理的な窮屈感を身体的な束縛によって表す。